省エネルギー・室内気候

省エネ住宅は少ない費用で快適に暮らせます
そのために必要な性能は
【断熱力】【通気工法】【計画換気】【気密力】【全館冷暖房】【日射のコントロール】

【断熱性能のレベル】

→UA値で表示し、省エネの地域区分別にレベルごとの基準値が決められています。
→エネルギーの価格上昇を見込むと”HEAT20のG2グレード”のバランスが良さそうに思えます。

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【断熱力】は、住まい内外の温度差を大きく保つ力です。

冷房、暖房する夏と冬に必要ですが、気候の良い春、秋には不要な性能です。

そのレベルがひとめで分かるように、UA値で表示し、省エネの地域区分別にレベルごとの基準値が決められています。

断熱力は強ければ強い方が良いのですが、イニシャルコストとランニングコストのバランスを考慮しなければならないと思います。

イニシャルコストと30年間のランニングコストのトータルコストは”ZEH基準”が最も安くなると言われていますが、今後のエネルギーの価格上昇を見込むと”HEAT20のG2グレード”あたりのバランスが良さそうに思えます。

【断熱力&結露】

→断熱力は温度差のダム
→断熱力が高いほど『壁の中で起こる結露問題』がシビアになる。
→ 屋根と床裏も夏季の逆転結露に注意が必要
→【通気工法】は、壁や屋根内部の水蒸気を屋外に排出し、材木の腐れを避ける工法

【断熱力】は、例えて言うと《温度差のダム》です。
しかし、大きなダムほど構造がシビアになるように、断熱力が強いほど『結露問題』がシビアになります。

結露

冷たいビールグラスの表面に暖かい空気が触れてできる水滴、これが結露です。
住宅では、窓ガラスや室内壁表面の結露と、壁の内部で起きる結露があります。
右側の写真のような、壁の内部結露だけは避けたいです‼

内部結露について

問題になるのは内部結露で、壁に『隙間』があれば室内の暖かい空気が壁の中に入り、屋外の冷たい外壁材に触れて発生します。屋根にも同じ事が言えます。

壁内部の結露は構造材の腐れに直結するので、なんとしても避けたいです。
床断熱も夏季に床裏で結露する恐れがあり、基礎断熱の方が安心できます。

写真の【通気工法】は、壁や屋根内部の水蒸気を屋外に排出し、材木の腐れを避ける工法です。

【計画換気&気密力】

→【計画換気】は、屋外の新鮮空気を室内に供給し家族が快適に暮らせる室内気候をつくります。
→ 気候の良い季節は窓を開け放して気持ちよく暮らしましょう。
→【気密力】は、計画換気を《確実》に行うために必要な性能です。

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【計画換気】は、屋外の新鮮空気を室内に供給して、家族が快適に暮らせる室内気候をつくります。
そのために、一人当たり1時間に25~30m³の新鮮な空気を室内に供給し、就寝中の一酸化炭素濃度が1000ppmを超えない換気量とします。

トイレ、浴室、押入などから排気し、寝室、LDKから新鮮空気を導入します。
一年中、回しっぱなしですが、
気候の良い季節は窓を開け放して気持ちよく暮らしましょう。

【気密力】は、計画換気を
《確実》に行うために必要な性能です。

気密性能が悪ければ、換気が風向き、風速、気温、気圧などに影響されて、計画通りの換気が出来なくなります。

ですから、計画換気を行うために高い気密性能(C値=1.0㎝²/m²以下)がどうしても必要になります。

【全館冷暖房&日射のコントロール】

→ 断熱力がハイレベルになると、1~2台の家庭用エアコンで全館冷暖房が出来てしまいます。
→ 浴室もトイレも寒くなくヒートショックの恐れも少なくなります。
→ 屋外に落葉樹を植えたり庇を設けて、夏は日射しを遮り、冬は日射しを室内に取り入れるようにコントロールします。

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【全館冷暖房】は、断熱力がハイレベルになると、1~2台の家庭用エアコンで全館冷暖房が出来てしまいます。

吹抜は断熱色が強ければ寒くなく、室温が均一になりやすいのである方が良いです。

このようにすると住まいの隅々まで温度差が少なくなり、浴室もトイレも寒くなくヒートショックの恐れも少なくなります。

※ ヒートショックは急激な温度変化が身体に及ぼす悪影響のことで、冬の暖房のないトイレや浴室で心筋梗塞や脳血管障害を起こすことなどが例としてあげられます。

【日射のコントロール】は、建物本体の日射遮蔽性能は「冷房期の平均日射熱取得率」で示し、数値が小さいほど省エネ性能が優れています。

また、屋外に落葉樹を植えたり適切な奥行と高さの庇や軒を設けて、夏は日射しを遮り冬は日射しを室内に取り入れるようにコントロールします。

省エネ住宅のレシピ


-断熱材・窓/ドア・換気の素材と工法-

【断熱材/断熱工法のレシピ】

そのキーワードは
→【素材】は、断熱性能・透湿or吸湿性能・経年変化・燃焼性・吸音性・健康度・価格です。
→【工法】は、断熱性能・気密性能・壁内結露防止・経年変化・価格です。

田代工務店のレシピは・・・。
・屋根:【ネオマフォーム充填パネル】
・外壁:【ネオマフォーム外張り】
・ 床 : 基礎断熱【ネオマフォーム内張りスカート断熱付】

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さまざまな素材や工法が選べます。一覧表にまとめてみました。
さて、いったいどうやって選べばよいのでしょうか?

そのキーワードは

素材については、断熱性能・透湿or吸湿性能・経年変化・燃焼性・吸音性・健康度・価格です。

工法については、断熱性能・気密性能・壁内結露防止・経年変化・価格です。

何を重視するかは人それぞれです。
自分たちで重視したい項目を決めて、検討してみましょう。

田代工務店では柱、梁を化粧使いする事が多く、これらを雨で濡らしたくないので、手早く現場作業を終えられるように、屋根は【ネオマフォーム充填パネル】としています。

外壁は壁内結露、断熱材の連続性、気密確保の観点から【ネオマフォーム外張り】です。

床は床裏断熱は、夏季に結露する恐れがあるのと、基礎は比熱が大きい(重量が重い)コンクリートの蓄熱性と、建物直下の地面の熱を期待して基礎断熱【ネオマフォーム内張りスカート断熱付】としています。

比熱が大きい素材が断熱区画内にあると、室内の温度変化が緩やかになります。

モチロン、お客様のご希望により、他の素材・工法も選択できます。

換気のレシピ

【換気量・気密・隙間風】

→ベストな換気量は一人あたり25m³/h~30m³/h、就寝中のCO2濃度が1000ppmを超えない程度
→換気量を維持するための気密性能(C値)は1.0以下
→高気密の住まいはさわやか!
→高気密は耐久性の面からも良いと言える

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日常生活では、人間が吐きだす炭酸ガス、体臭、調理の煙、浴室や押入、トイレの湿気や臭気などが発生します。これらを排気するために換気が必要となります。しかし、省エネの観点からはなるべく少ない換気量の方がエネルギーのロスが少なくてすみます。

ですから、換気は快適で健康的に生活でき、エネルギーのロスが最小になるように、ベストなバランスで計画します。

そのベストバランスは・・・。
《換気量は一人あたり25m³/h~30m³/hで計画し、就寝中の一酸化炭素濃度が1000ppmを超えない程度》
と、なります。
(注意。この数字は、シックハウスの観点から規定されている建築基準法の換気量よりは少ない値となります。)

設定したベストな換気量を24時間、一年中維持するために風速、温度差などに影響されない気密性能(C値=1.0以下)が必要となります。

高気密は、『空調された室内に閉じ込められた感じがする』イメージがありますが、実際はさわやかな空気に満ちあふれています。これだけは、見学会などで実際に体験して頂かなければ分からないです。

気密性能が悪いと隙間風と同じで、いつ、どれだけ出入りしているのか分からない。どこから入ってどこから出ていくのか?分からない事だらけです。これでは換気とは言えません。

高気密は、空気の出入りは給気口と排気口に限定され、梅雨時の湿った隙間風などが躯体に触れる事はなく、耐久性の面からも良いと言えます。

【換気の方法】

→ 住宅の換気方法は第1種換気・第3種換気がお勧め
→ 熱交換換気システムは進化している。

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換気の方法は第1種換気・第2種換気・第3種換気の3つの方法があります。

〇第1種換気は、給気・排気共にファンで行う方法です。計画通りに空気が動きやすいですが、イニシャルコスト、ランニングコスト共に高くつきます。
熱交換換気は第1種換気になります。

〇第2種換気は、給気にファンを使い、排気は自然排気です。そのため、室内は正圧(外気より圧力が高い)となります。クリーンルームや食品工場などに使われます。

→ 住宅の換気方法は第1種換気・第3種換気がお勧め

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〇第3種換気は、給気は自然給気口で排気にファンを使います。設置室が負圧となるので、トイレ、浴室や押入に設置しすると、臭気や湿気が他の部屋へ逆流しないようになります。
気密性能が低いと思いがけない所から隙間風が入ったり、換気経路がショートカットされて計画通りに換気できなくなります。
外壁に取り付けるパイプファンとダクトを使うダクト方式があります。

→ 熱交換換気システムは進化している。

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〇熱交換換気は排気から熱を回収して室内に戻すシステムです。顕熱交換と全熱(顕熱+潜熱)交換の2種類があります。

顕熱、潜熱って、聞きなれない言葉ですね。
顕熱は・・・冬に窓ガラスに手を触れると冷たいですよね。これは、室外の冷たい空気の温度だけが手に伝わっているからです。顕熱はこのように温度変化に使われる熱です。

潜熱は・・・汗をかいて肌に水が付くと、その水が気化して蒸発する時に涼しく感じますよね。
これを言い換えると、液体の水が気体の水蒸気に変わる時に必要なエネルギー(潜熱)を体から奪うので体が冷やされて涼しく感じるのです。

難しくてスッキリしませんが、熱交換換気やエアコンなどで空気中の熱を考える時は、顕熱=空気、潜熱=水蒸気と考えて差支えないでしょう(タブン?汗;)

顕熱交換器は、図のピンクから水色へ熱だけを移動させるために、水蒸気を通さないプラスチックで作られています。潜熱は交換しないので熱の交換率は低いです。
全熱交換器は、熱の交換率を上げるために、ピンクから水色へ熱と水蒸気も移動させる紙で作られています。まさにダンボールを直交するように積み上げた形です。

全熱交換機は、以前はクラフト紙のような紙で作られていたので、外に排出したい匂いやホルムアルデヒドなども室内に還ってくるリスクがありました。
最近、技術開発が進み、熱交換素子を臭いやウィルスなどは通さない「ガスバリア性透湿膜」で作っているメーカーもあるようです。
「へぇ~、そうなんや!」と安心していないで、清掃とメンテナンスは怠らないようにしましょう!

【絶対に使ってはイケナイ 】

→虫除け網付きのベントキャップは絶対に使ってはいけません!!
→換気経路のメンテナンスはこまめに行いましょう。
→熱交換換気はお勧めしません。

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全ての換気扇に使われるベントキャップ(外壁に取り付ける雨除けフード)には、鳥除けガラリ付、虫除け網付があります。

虫除け網付のベントキャップは埃が目詰まりして、換気量ゼロになってしまうので、絶対に使ってはいけません。
ガラリ付もこうなる可能性はあるので、点検とメンテナンスが必要です。

恐いもの見たさで、ダクトの中も覗いて見ましょうか?

下左の画像は、網付きフード内側のパイプファンです。パイプファンと自然給気口は外壁の厚さのダクトなので、内側から簡単に点検、清掃ができます。

下右の画像は、排気側のダクト内部の清掃前と清掃後の写真です。これはまだキレイな方で、完全に詰まるまでメンテナンスされていない例も見かけました。

熱交換換気の給気側がこうなると恐ろしいですね!熱交換換気はフィルターを通って給気されるので、ココまで汚れはしないでしょうが、メンテナンスを怠るとこうなる可能性はあります。

もし、寒冷地に住んでいて寒さを一切感じない生活をしたければ、熱交換換気を選択する余地はあります。しかし、播州に住んでいて、コストやメンテを考慮に入れるとその必要性は感じません。
なにより、ワタクシはココを通ってきた空気を呼吸したくはありません、キッパリ。
いくら熱交換換気の熱回収効率が良くても、田代工務店が熱交換換気をお勧めしない理由がコレです。