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森からの贈り物
四万十スギ・四万十ヒノキ
2014年10月、「良材を育み・使うために」をテーマに意見交換会に参加した際、高知県四万十町大正にある(有)関西木材建設へ伺いました。
そこで、含水率15%に乾燥された杉を一目見てビックリ!
数秒の沈黙の後、「なぜ?」が次々と湧いてきました。
『なぜ、表面が割れていないのか?』
『なぜ、中割れもしていないのか?』
(モチロン、100%ではありません。少々の割れはあります)
『なぜ、焦げた臭いがしないのか?』
『なぜ、こんなに木肌がきれいのか?』
その価格を聞いてまたビックリ!
一瞬でひとめぼれ状態です。
案内して頂いたドライウッド土佐会の田岡氏によると、『この杉は減圧式蒸気乾燥機で乾燥している』との事でした。
減圧式蒸気乾燥材は・・・生煮えのゴリゴリ飯である!?
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減圧式蒸気乾燥機は、乾燥させる材を常圧時に昇温しておき、機内の気圧を0.5~0.2気圧まで低くする事で、細胞内の水を約70℃の低温で沸騰させて圧力を高めます。その一方で、材の外周の圧力が低くなることにより生じる圧力差で材内部の水分を表面へ速やかに移動させて乾燥させます。
この方法は乾燥時間を短縮できる事と、低温で細胞水が沸騰する事により材の熱劣化を抑制できる事がメリットです。
富士山に登ってご飯を炊く場合をイメージしてみると合点が行くでしょう。富士山頂では約0.65気圧なので88℃程度で水が沸騰してしまい、生煮えのゴリゴリしたご飯になってしまいます。炊飯器中の水は水蒸気になって蒸発しますが、お米は温度が上がらないために炊けていません。
この事と同じように、減圧乾燥材は水分は蒸発しているけれど、材は生煮え状態なので色艶が劣化しないで残っている訳です。
木に含まれる精油分も揮発しないので、ねばり強さも元のままです。
なぜ・どうやって・材木を乾燥するのか?
お勧めは減圧乾燥材です!
なぜ乾燥材が必要なのでしょうか? 乾燥材の効果から考えてみましょう。
- 生材よりも強度が強くなります。
- 乾燥収縮が少なく、寸法が安定するので、柱・梁の割れや壁のひびが少なくなります。
- カビや結露が少なくなります。
- シロアリの食害や腐朽菌に強くなります。
これらの効果を得るため、含水率は構造材では15~20%、フローリングなどの内装材では10~15%が目安とされています。
乾燥方法の違いによる材木の特徴
○高温乾燥材(最も一般的な方法)
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・125℃程度まで昇温させて乾燥する。
・乾燥時間が短く経済的。
・材は焦げくさい臭いがする。
・材の表面は焦げた色目になる。
・ドライイングセット乾燥では内部割れが起こしやすい。
・材の粘り強さがなくなる。
・130℃以上では強度が落ちる。
○中温乾燥材
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・80℃程度で乾燥する。
・乾燥時間は2週間程度必要。
・材の表面は自然乾燥に近い色目になる。
・材の表面割れが起こる。
・材の粘り強さは保たれる。
・含水率のバラつきが比較的大きい。(ような気がする)
○自然乾燥材
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・温室のような倉庫に寝かせて乾燥する。
・乾燥時間は数カ月~数年が必要。
・材の色目は最もきれい。
・材の表面割れが大きい。
・材の粘り強さは保たれる。
・含水率のバラつきが比較的大きい。
・建ててからの収縮が大きい
○蒸気式減圧乾燥材
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・常圧と減圧(0.3気圧程度)を繰り返して乾燥する。
・ドライイングセット乾燥でも水の沸点が低く、以下の特徴が
あります。
・乾燥時間が短く済む。
・材の表面は自然なまま色合い。
・材の表面割れ、内部割れが非常に少ない。
・材に精油分が残り、粘り強さは保たれる。
このような特徴があります。
乾燥具合(含水率)、色目、割れや反りなどを考慮して、田代工務店では減圧乾燥材をお勧めしています。
杉を乾燥させる難しさ
-㈱大井製作所・乾燥の基礎知識より-
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樹木の幹は、根から葉へと水を送っているので、中には水がいっぱい入っています。水を通しているのは幹全体ではなく、幹の外側の辺材(白太)部分だけです。
辺材には水が多く、その内側にある心材(赤身)には水が少ないのが一般的なのですが・・・、樹の世界にも例外があって、杉は心材に水分を多く含んでいます。
杉には特有の白線帯があります。
ミクロの目で観察すると、水が細胞間を移動する時には、細胞壁に無数に存在する壁孔と呼ばれる小さな孔を通過していきます。これは単なる孔ではなく、弁がついていて、水の流れをコントロールしています。
辺材の弁は比較的自由に動くことができるのですが、心材の弁は水を通さないようにするために、水を追い出した後に、弁が閉じさらに糊付けされています(心材化現象)。しかし、スギのような樹種にはいつのまにか心材の細胞の中にも水が溜まっています。
ここで厄介なことは、心材の中にある水は、細胞の中に閉じ込められた状態になっているので、心材内の水の移動は悪く、辺材よりも乾燥に時間が掛かかります。
このバランスの悪さが杉を乾燥させる難しさとなります。
細胞は乾燥するにつれて収縮します。自然乾燥では、早く乾燥する辺材は収縮しようとしますが、芯材は乾燥に時間が掛かるために収縮しにくいので表面が負けて割れてしまいます。
これを防ぐために、高温低湿乾燥法という方法があります。
これは、木材中のリグニンやヘミセルロースが軟化する80℃以上で木材をやわらかいゴム状にしながら、低湿度で表層部を乾かし、表層部に大きなドライイングセットをかける方法です。
先に軟化した表層を乾かすことで、表層には大きな引張力が働こうとしますが、軟化しているために何とか割れずに伸びて耐えているといったイメージです。
中には、引張力に耐えられず割れる場合もありますが、表層には既にドライイングセットが作られています。この表面割れは、乾燥の後半になり内部が乾きだすと逆に内部に引張力が、表層に圧縮力が働くようになり、閉じていきます。
この乾燥は、いずれにせよ急激な乾燥法ですので、木材を痛めない程度の高い温度と湿球温度、処理時間の選択が重要になります。
四万十の森から、おくりもの
【木のおもちゃ】【ヒノキオイル】【家具】
材木のほかにも、いろんなものが作られています。
少しだけですがご紹介しましょう。
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